祝ドラマ化記念

2006年2月14日 読書
天才的な技量がありながら、大学病院の体質に反発して日本の医局から干された外科医、朝田と
その朝田を執刀医として利用し、自分の論文『バチスタ変法』を完成させて、
医局初の女性教授を狙う心臓外科の助教授、加藤を中心に展開する医療マンガ。

簡単に言うとブラックジャックによろしく+白い巨塔を足して2で割ったような構成。
某アレによろしくのような感動体質な盛り上げ方じゃなくて
良い意味で俗っぽい。
腹に一物も二物もある登場人物達が俗っぽい目的の為に俗っぽく工作をしながら、でもほろりと青臭い事ももらす。
そんなところがとても人間らしくてこのマンガ好きなんですが、
まあマンガに原作を取ってる時点でだいたいドラマの出来は押してしるべし。かなとあきらめモードだったりします。
『Drコトー』とまでは言わないから、頼むから『動物のお医者さん』みたいにはならないで・・・

天使と悪魔(上)

2005年4月4日 読書
ISBN:4047914568 単行本 越前 敏弥 角川書店 2003/10/31 ¥1,890
アメリカの象徴学者のロバートラングトンが
スイスの科学研究機関、セルンの理事長に呼び出されてみるとそこには陰謀結社『イルミナリティ』の焼印が押された研究員の死体に盗まれた『反物質爆弾』。爆弾はバチカン市国のどこかにセットされタイムリミットは今日の日付が変わるまで。
頼みの綱は古文書と美術への造詣と相棒の研究者の娘。
爆弾を設置した犯人を捕まえるためローマを西に東にと奔走します。

『ダビンチ・コード』の前編にあたる話です。
有名になりすぎた後編と同じく、陰謀の代名詞的組織の影を追いかけて現実に存在する美術品をネタに謎掛けの連続です。
相変わらず黒幕が竜頭蛇尾だったりしますがそれはご愛嬌。
ダビンチコードと違って、下巻の失速も無く、
序盤のまま、ラングトンに同情したくなるようなテンションで話が展開していきます。個人的にこっちのほうが好みです

あ、それと、ちょうど劇中で今話題の『コンクラーベ』やってるんで、『コンクラーベ。何?』て人は是非。

姉飼

2005年2月13日 読書
幼年期の夏祭りに見世物屋で串刺しの『姉』というクリーチャーを見てしまったことによって、人生を踏み外してしまった男の話。
どこかの書評に2004年度ダントツのホラーとあったんで読んでみました。

・・・ ・・・ ・・・

あー、まあ何というか怖いというより気持ち悪いですね。これ。
ぶっちゃけ気持ち悪いものに対してあんまり耐性がないんでちょっと無理。嗜好が合わないです。
おとなしく呪怨見てチビっときます。

重力ピエロ

2005年1月21日 読書
あーあ、直木賞は絶対に伊坂幸太郎だと思ったのになあ。
対抗馬の本田孝好も落選してしまって、かなり意気消沈中だったりします。

で話を伊坂幸太郎に戻しますが、
この人、かなりクセのある文章を書く人です。
視点がコロコロ切り替ったり、
いきなり回想シーンが始まったりと
文章自体の軽妙さもあって長編の割には各センテンスがすごく短い感じがします。

あと変な話が多いです、デビュー作なんて設定が現代なのに喋るカカシが話の中心で仙台市にある地図に無い島が舞台です。
何それ?と気にするとたぶん負けです。
他にもたまたま銀行強盗の現場に居合わせた人間同士が銀行強盗を企てる話や、
世界中の女性を口説くことが自分の義務であると確信してそれを実際に行動哲学にしている伊達男の隣に越してきた主人公がいきなりそいつに本屋へ広辞苑を強盗しに行こうと誘われる話なんてのもあります。

それと音楽。伊坂作品には音楽が、例えばビートルズとかボブディランが特別な役割を担って登場します。ヒッピー的というかそれに近いものがある気がします。
『世界に愛と平和を、そして歌を。』みたいな

なんていうか、現実的にはありえない設定とかが飛び交ってますが、かといって現実感が剥離してるわけではないし、不思議な世界が展開されてます。

たぶん本屋や図書館で序章を読んでもらうのが手っ取り早いかな。
で気に入ったようなら最後まで是非読んでみてください。
読後感が最高に良いんです。作品によって終わり方には違いがあるんですがどれも共通のすーっとくるモノがあります。

重力ピエロもそんな話です。
血の繋がらない兄弟と癌と闘病中の父親、数年前に他界した母親の家族の絆が主題なんですが、
作中の父親の台詞で
『俺たちは最強の家族だ』
というのがあります。
何でも無い、下手すると陳腐に聞こえてしまうこの台詞にこの話の核心が込められています。激おすすめ。
ISBN:4048733907 単行本 乙一 角川書店 2002/07 ¥1,575
これも『このミステリーがすごい』で初めて知った作家です。
いわゆるライトノベル畑出身らしくて全くのノーマーク。誰それ?って感じでした。

まあ振り返るに、色々あったんですよ。
その当時、それに近い系統で、痛い目に、
まあ具体的には藤本ひとみとか、藤本ひとみとか、藤本ひとみなんですが。
歴史小説の外観に期待して読んだらベルばらの世界だったみたいな。

もっとも、単純にライトノベル自体を殆ど読まないってのが大きいです。
そこらへんは、食わず嫌いってわけではないのですがなんか色々書けて長くなりそうなんで次の機会に。

で『GOTH』ですが一般人を『演じて』いる高校生の主人公と
主人公がとある理由によりちょっと気になっている存在である森野というクラスメイトが
一話完結で毎話、猟奇的な殺人事件に関わるという話です。
目新しいのは推理物で言うトリックにあたる部分。
『GOTH』では全編通して読者の錯誤を使って物語を構成しています。特に中盤までの話はどの構成要素でミスリードしてくるんだろう?と考えるのが楽しかったりします。

と、ここまでが表レビュー。
このキャラクター構成をどっかで見たなと思った人、正解。

実は前にレビューで書いた本田孝好の『MOMENT』とほとんど一緒なんです。
劇中では名前が出てこない主人公とその相棒の森野。
そして話が1話完結式の連作集でミステリー風味。
しかも文章の雰囲気も近い。
後で確認すると発売日までほとんど同じ時期。

1月空かずに両方読んでしまった当時はいろんな意味で驚きも一塩でした。
こんな事って現実であるんですね。
個人的には読み比べが出来て1粒で2度美味しかった気分。

『MOMENT』との決定的な差異を感じたのは、
『人間なんてこんなものさ。』
と独白するところまでは『GOTH』も同じなのに
『なので人間辞めてます』とか『実は人間じゃないです』
とアクセル全開で踏切ってるところでしょうか。
作者のスタンスの違いみたいなのが出てて面白かったり。

MOMENT

2004年12月20日 読書
ISBN:4087746046 単行本 本多 孝好 集英社 2002/08 ¥1,680
毎年、年末に『このミステリーはすごい』っていう1年のミステリーをランキングする本がでるんですが本田孝好はそこでデビュー作が10位くらいに入っていてそれ以来愛読してたりします。
最近、本人がメディア露出するようになって嬉しい様な悲しいような。どうせならばばーんと売れちゃってもらいたいところではあります。
で、この『MOMENT』なんですが粗筋をかいつまむと
病院で清掃員のバイトをしている主人公がちょっとした事情で余命幾ばくもない人の最後の願いを聞き届ける自称『必殺仕事人』になって頼まれた仕事を果たすって話です。
1話完結の連作集なんで、続けて登場するのは主人公とその幼馴染で葬儀屋の女社長、森野くらいで後は余命僅かな依頼人や依頼対象のみ。
まあその依頼人とかがいろんな意味でこの世の悪意みたいなものを抱えてるわけなんですが、そんな汚いところを込みで
『人間ってこんなものさ。』
と否定的な意味ではなくむしろ
『だけど捨てた物じゃないよ』
と肯定的に受け入れてるのが、心がいろんな意味で荒んでいる自分にはストライクゾーンど真ん中だったり。

まあ長々と書いてしまいましたが言いたいことは
誰か本田孝好の新作『真夜中の五分前』。
11月に発売したんで新本のハードカバーなんて恐れ多くて手が出ない私に貸して下さい。

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